9月5日 中央行動 8人が訴え
東京・新宿南口で行われた中央宣伝には約70人が参加しました。各団体から8人がリレースピーチを行いました。発言概要を下記に紹介します。
小畑雅子・全労連議長
国会ひらき医療・介護・保健所の本気の充実を
コロナ禍で本当に悲しくて胸が痛む事態が次々に起こっています。この現状を変えなければなりません。やることはたくさんあります。原則自宅療養を撤回し、科学的知見に基づいた感染拡大防止対策を進めること、ワクチン接種と一体の大規模検査体制をすぐに確立すること、臨時の医療施設などの大規模な増設・確保、全ての医療機関への減収補填や財政支援、休業せざるを得ない労働者、自粛を強いている自営業者などへの迅速な補償。そうした対策を議論し早急に予算をつけるためにも、今すぐでも国会を開くべきです。医療・介護・保健所を削減する政策を撤回し、拡充する政策に転換しなければなりません。
私たちが求める政策は大きくいって2つです。一つは、国会を開いてコロナ対策の集中審議を行い、予算をつけて抜本的な対策を緊急にとること。もう一つは、医療・介護・保健所を本気で充実させる政策に変えること。この要求を実現するために、政府や厚労省に対して要請を繰り返してきましたが、政府は政策を転換しようとしません。変えさせるために皆さんの力が必要です。
菅首相への手紙を書いてもらい首相に届ける取組をしています。悲痛な声がたくさん寄せられています。現場の声が政治を動かします。皆さんがコロナ禍で経験したこと、政府へのお願い、集めています。必ず首相に、政府に届けます。私たちの経験したことをきちんと伝え政策を変えさせましょう。
住江憲勇・全国保険医団体連合会会長(医師)
今こそ感染症対策の大原則に立ち返れ
全国で11万人を超す自宅療養患者が出ています。先週一週間で自宅療養が重症化し救急車を呼んだ方のうち、半数を搬送できませんでした。これは患者さん見殺しの政治です。責任は誰が負うのでしょう。
今こそ感染症対策の大原則に立ち返るべきです。4点あります。1点目は、検査体制を大規模に拡大し陽性者を拾い上げ収容・保護し治療に結び付けること。2点目は、国民一人ひとりの納得と理解に基づく協力を得るために、経済的補償を行うこと。3点目に、ワクチン接種の早期徹底。4点目は、自己責任論による原則自宅療養を撤回し入院病床を増やすこと。すぐにはできなくても、せめてまずは医療機能を有した宿泊療養施設、臨時医療施設を早急に拡大することです。
こうした取組が25都道府県で進みつつあります。これを何としても全国に広げる必要があります。往診体制では限界があります。きっちり感染者を収容し治療し重症化を防ぐことが必要です。なぜ自公政権はこれを遅々として実行せず、感染爆発を生んでしまったのでしょうか。それは医療者、研究者の提言を一顧だにせず科学的・客観的事象を無視し、楽観的推測で後手後手に回った自公政権の無為無策に原因があります。この40年来の新自由主義財政運営の結果です。自公政権は市民の収入補償を拒み、ただ精神論で難局をかわそうとする一方で、大企業や富裕層には大盤振る舞いをしています。
山口一秀・中央社会保障推進協議会事務局長
「社会保障は自己責任」の転換を
私たちは結成以来社会保障の拡充を求めてきました。社会保障の拡充が国に求められています。病気になっても病院にかかれない、救えるいのちが救えない、医療を受けられず亡くなってしまう事態が起きています。医療施設を増やそうとしても医師や看護師が不足しています。保健師、保健所が徹底的に減らされ、昼夜を分かたぬ仕事が当たり前になってしまっています。
その背景には、歴代自民党政権による社会保障の削減が根本にあります。さきの国会では75歳以上の医療費窓口負担2倍化の法制定が強行されました。歴代政権の「社会保障は自己責任」という思想が前面に出された結果です。財源を確保し充実させるために政治を転換させていくことが本当に求められています。病床を減らす地域医療構想が今なお強行されようとしています。こうした事態を変えていくために「菅首相への手紙」、声にして国に伝えていくことが大変重要と思っています。
高橋美明・都立病院の充実を求める連絡会事務局長
都立・公社病院の独立法人化の撤回を求める
小池東京都知事は都立・公社病院、7000床の病院を民営に近づけ都が責任をもたない組織にしようとしています。うち2000床がコロナ対応病床です。都立・公社病院は都内病院の6%ですが、都内のコロナ病床の3割を都立・公社が担っています。都立・公社の病床の半分をコロナ病床に置きかえて乗り切ってきました。こうした中、なぜ独立行政法人化を進めるんでしょうか。方針を撤回することを求め運動を進めていきます。
石川敏明・自治労連書記長
保健師、看護師、自治体職員の大幅増員を
コロナから私たちを守ってくれているのは菅政権ではなく全国の医療機関や保健所、ワクチン接種に従事する働く人たちです。コロナ禍が長期化する中で、新自由主義では人の命もくらしも守れないことがはっきりしました。新自由主義は「民間でできるものは民間で」という考え方ですが、コロナ禍で、行政が直接責任を持ってしっかりやらなければだめなことがはっきりしました。保健所は、40年前は850か所ありましたが、今では469か所。東京23区では1区に1か所ずつにすぎません。感染拡大で業務がひっ迫するのは当然です。看護師も保健師も何か月も感染の危険を隣り合わせになりながら月100時間を超える残業・休日出勤をしながら住民を感染から守っています。30年前は全国に1万5千あった感染症病床が今は1800しかありません。感染症の脅威は過去のものだといって減らされてきたのです。コロナ禍であわてて増やそうとしても、元に戻すのは大変なことなのです。
菅政権は国民の命を守ろうせず、五輪を強行し、小中学生を動員しています。子どもたちの命よりオリパラにむらがる企業の利権を優先しているのです。特定定額給付金の再支給や休業補償はしない、ワクチン接種は自治体に丸投げ、臨時国会を開こうともしない無責任な政権です。私たちの命やくらしを託すことはできません。 保健師、看護師の大幅増員が必要です。コロナ患者を積極的に受け入れてくれたのは公立病院です。公立病院の果たす役割をきちんと見つめなおしてほしい。火事がないからと言って消防署をなくすことが出来ないのと同じように、医療も平時から十分な体制を作っておくべきです。地方公務員はどんどん減らされてきました。全国の自治労連の組合では、人員増の要求書を作って交渉し運動しています。もうこの政権は変えなければいけない。総選挙は、何もしてくれない政権に別れを告げて本気で私たちをコロナから守ってくれる政権に変える絶好の機会です。
川上真理・日本医労連書記次長
病床を削減し医療従事者増員から目を背けてきた政権に反対の声を突きつけよう
友人の看護師からLINEが入りました。院内でクラスターが起き一瞬で世界が一変したそうです。スタッフが足りず自分も支援に入ることになり、家では隔離状態、家庭をおろそかにしている悲しさにさいなまされていると。病院でクラスターが起きたことで民間の保育園が子どもの受け入れを拒否しているそうです。
医療従事者の精神的・肉体的疲労はピークに達しています。政府は医療従事者の自己犠牲的な責任感の上にあぐらをかき、甘え続けています。救えたはずの命が救えないことは医療従事者としては何より耐え難いことです。私たちが行った厚労省交渉では、医師や看護師が大幅に不足していることが明らかになったにもかかわらず、政府は「高齢化のピークが過ぎれば医師や看護師は今よりも少なくて済む」という態度に終始していました。消費税を財源に病床を削減する政策を推進しています。夜勤看護師は16,17時間の連続勤務を強いられており、欧米諸国では考えられない人員体制です。医師は32~36時間の連続勤務が当たり前です。そこにコロナパンデミックが起きたのです。だからこそ私たちは医師や看護師、介護職を増やせと訴えてきたのですが、政府はとことん無視し続けてきました。一方で感染が拡大すると、コロナ患者を受け入れないと病院名を公表すると脅しをかけています。酸素ステーションや野戦病院の体制を整えても、対応できる医師や看護師がいないと機能しないのです。
自分の延命治療に明け暮れた菅政権の退陣劇には、苦しむ国民や医療機関の姿は感じられません。ぜひ投票に行きましょう。Twitterデモにも参加してください。
吹上勇人・全日本教職員組合書記次長
子どもの感染拡大防止、保護者の休業補償を国の責任で
学校では2学期が始まりました。デルタ株で子どもたちのクラスターが広がっています。学校で感染した無症状の子どもから大人への感染が非常に心配されています。子どもたちが家にいれば保護者が仕事を休まなければなりません。その補償をどうするか、きめ細やかに国の責任で詰めておくべきです。安心して休める、在宅勤務ができる体制や、休業支援金や雇用調整助成金など不十分であった政府の対応のもと、長期の緊急事態宣言下で私たちは不安な生活を強いられてきました。経営破綻に陥る中小企業や自営業者、雇用の調整弁としての非正規労働者の雇止め。そうした方々の生活を国はどう考えているのか。感染を本気で終息に向かわせるつもりはあるのか。オリパラでは感染対策は光景に追いやられ、感染爆発につながりました。自助・自己責任のみが押し付けられる緊急事態宣言に国民はうんざりしています。
あまりに少ないワクチン供給量。保健所・医療体制拡充、無料PCR検査などを放棄した政府の責任は重大です。野党の求めにも応じず政府与党は沈黙を続け、自民党は党利党略に奔走しています。声を上げ政治を変える時ではないでしょうか。
三木陵一・JMITU委員長
100%の休業補償を求め企業に申し入れ実施 労働組合の役割発揮を
JMITUでは、各企業の経営者に対して、感染爆発から労働者の命とくらしを守る緊急申し入れを行っています。職場の感染防止を強化し、ワクチン接種の副反応で体調が悪化した時、家族が感染し自宅待機をした時、子どもの保育園や学校が休みになった時などに賃金を100%補償して休めるようにというものです。ある工場ではとても忙しく、ワクチン接種日は恒休扱いとなっているにもかかわらず、ワクチン接種が終わったらすぐ職場に戻って来いと言われるとか、少々体調が悪いくらいでは無理して出勤しないといけないといった声があがっています。感染防止への不安、保育園や学校の休校で休めないと不安を持っている方が多いと思います。労働組合に加入していただければ、一緒に悩みを解決するためにお手伝いできます。
コロナ禍でも働きやすい職場を実現するには労働組合の力が必要ですが、根本的には政治を変えることが大事です。女優の綾瀬はるかさんがコロナで入院したと報じられましたが、大女優だからではなく、綾瀬さんは先進的なコロナ対応をしている墨田区に住んでおり、区の迅速な対応のおかげで入院できたと後からわかりました。どうして墨田区でできていることが東京都や国でできないのでしょう。新しい政治を選ぶのは、自民党総裁選ではなく私達一人ひとりが投票する総選挙です。絶対に投票に行きましょう。